Google Chromeからアドレスバーが消えたとして騒ぐ必要ある?

Chromeブラウザからアドレスバーが消える–あなたはそれに賛成? - TechCrunch

なんかこれが話題だったので。
ちなみにこれについては、

http://twitter.com/os0x/status/39992169213206528:twitter:detail:left

こういう話もあるけれども、まあ、そういうの関係なしに書いちゃったのでそのまま載せる。


アドレスバーの常時表示を解除することの是非はともかくとして、この記事に関連して見られる「アドレスバーが無くなるとフィッシング詐欺などの危険性が増える」という反論はおそらくあまり意味がない。


結局、「アドレスバーを見ただけでXSS型のフィッシング詐欺を判別できる人がどれだけいるのか」という問題。日頃ブラウジングをしていて何気なく出てきたフィッシングを、アドレスバーを見ただけで一発で見分けられるのか。ハッカーであっても、機械的なアンチXSSフィルタに判断を仰いだ方が効率がいいだろうし、ましてやエンドユーザーじゃなおのことだ。
アンチXSSフィルタの精度にしたって、提供するのは膨大な量のWebページを解析しているGoogleだ。Google自身自負があるだろうが、普通に使う分には全幅の信頼を寄せられるとまではいかなくても、大抵の攻撃には対処できると考えても問題ないだろう。

アドレスバーが見えたほうが安全だとしても、それでは、普段はアドレスバーが非表示な上、PC上のブラウザに比べて圧倒的に短いアドレスしか一度にスマートフォンなどのモバイルブラウザは危険なのか? それは違うだろう。
それに上記の記事の冒頭のモックアップ画像ではアドレスバーは完全に消えていない。必要になったら表示させることができる。その気になればアドレスはその場で確認できる。特段「危険になった」ようには思えない。
そもそも根本的にXSSや脆弱性狙いのページは開いただけでアウトな攻撃モデルなので、開いた後で現在のページのURLを確認したところで遅い。


次に、「アドレスバーが消えたらアドレスを直接入力できなくなる」という意見も見かけたけれども、それはナンセンス。
純粋にアドレスのみを表示するならば、アドレスバーは移動手段ではなく、ただの通知システムだ。
そして、このモックアップ中には、Google Chromeの「検索ボックス」がきちんと存在している。Google Chromeの検索ボックス、Omniboxは検索と移動の起点である。
現状のGoogle Chromeですら、アドレスバーは「URLを入力するところ」じゃなくて、「何でもいいから入力すればGoogle先生が導いてやるよ」な場所だ。スペースなどの問題でアドレスを表示しているに過ぎない検索ボックスだ。よって、この「尋ねれば何でも出てくる魔法の箱」が存在する限り、アドレスバーにURLを入力できなくても全く問題ない。


余談だけど、(そもそもアイデアの段階で実際に進捗があるか不明らしい)このモックアップのデザインが、Google Chrome以外に適用できるかと言うと、かなり難しいと思う。少し前にも書いたけど、IE9にしてもGoogle Chromeにしても、前者であればWindows、後者であればGoogleという製品サービスとの統合を前提に設計されている。Google ChromeのOmniboxがなんてまさしくそれで、「何でも尋ねれば答えてくれる魔法の箱とそれを支えられるだけのデータベース」を実現可能にしているのはGoogleの圧倒的な情報インデックスだ。
こうしたバックグラウンドとの統合を念頭において開発されたデザインを、そうしたバックグラウンドを持たないOperaFirefoxが上手に取り入れられるかというとたぶん無理なんじゃないかと。